放課後探偵団、って響きがいいな

最近の読書録。

『Rのつく月には気をつけよう』(石持浅海、祥伝社文庫)

Rのつく月には気をつけよう (祥伝社文庫)

Rのつく月には気をつけよう (祥伝社文庫)

〜内容紹介から〜
湯浅夏美と長江高明、熊井渚の三人は、大学時代からの飲み仲間。毎回うまい酒においしい肴は当たり前。そこに誰かが連れてくるゲストは、定番の飲み会にアクセントをつける格好のネタ元だ。今晩もほら、気持ちよく酔いもまわり口が軽くなった頃、盛り上がるのはなんといっても恋愛話で…。ミステリーファン注目の著者が贈る傑作グルメ・ミステリー。
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毎回出てくるお酒とおつまみの組み合わせが、読んでいるだけでたまらない。
お酒が好きな人にはおすすめ。
ミステリとしては会話だけで解決を導く安楽椅子探偵ものなのでロジカル、明快な切れ味、そこに人の間の機微が重なって、あーこんな飲み会に混ざってみたい。
各短編をつなぐラストも鮮やか。わかってたのにー、と思いつつまんまとひっかかってしまった。


『放課後探偵団』(相沢沙呼市井豊/鵜林伸也/梓崎優/似鳥鶏創元推理文庫

放課後探偵団 (書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー) (創元推理文庫)

放課後探偵団 (書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー) (創元推理文庫)

〜内容紹介から抜粋〜
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「学園を舞台にした新作短編をお願いします−若い読者にも本格的なミステリを楽しんでもらいたいので」1980年台生まれ、東京創元社デビューの新人作家五人が、編集者の要望に応えて書き上げた五つの学園ミステリを収録。(中略)五人の新鋭が描く謎と恋と推理のボーイズ・ライフ。
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ということで、学園もののミステリ五編の短編集。
新作とあっても既刊シリーズものの番外編みたいな話もあり、やや戸惑うところがあったりしたりするんだけど、どれも学園ものならではの軽快さがあって好感。
「ボールがない」なんかは、非常にスケールが小さい話で、それが逆に若い時代の事件という感じがして好きだ。
他の3編については既刊(『理由あって冬に出る』、『午前零時のサンドリヨン』、<聴き屋>シリーズ)があるようなので、そっちのシリーズも読みたくなる魅力的な作品たち。
で、トリを飾る梓崎優の「スプリング・ハズ・カム」はオリジナル作品だけれど、これがまた実に美しい。読みながらわずかに感じる違和感、その正体がラストに明かされたとき、その鮮やかさと切なさに思わず息を呑んだ。ため息。
この一編だけでもおすすめ。


『コンピュータvsプロ棋士〜名人に勝つ日はいつか』(岡嶋裕史PHP新書)

コンピュータVSプロ棋士―名人に勝つ日はいつか (PHP新書)

コンピュータVSプロ棋士―名人に勝つ日はいつか (PHP新書)

ミステリ2編の次はノンフィクションに飛ぶけど、将棋ソフトvs人間、頭脳戦の並びということで。
2010年10月11日、最強の四種類の将棋ソフトを組み合わせた「あから2010」が清水市代女流王将相手に勝利。ついに人間のプロに一発を食らわせた記念すべき日。
この日に至るコンピュータ将棋の流れと、当日の熱戦の模様がコンパクトにまとめられている。自分は将棋に詳しくないけど、激戦の模様がびんびん伝わってきて、興奮。駒の動かし方を知っている程度でも、十分楽しめる。
戦前に宣伝されていた169台のクラスタシステムが十全に機能していなかったというのも、初めて知った。それでもあの激戦。今の将棋ソフトは、もはやとんでもない域に達しているね。
もちろん真っ向から受けて立った清水女流も讃えられるべきで。
戦後の記者会見での言葉は、将棋ソフトの開発者への賛辞を述べられていて、清水女流の懐の深さを感じられた。と同時に、技術を生業にしてる者の1人として(端っぱも端っぱだが)、とても感動的な言葉でした。

ブレイクスルーを生み出し、かつて渡辺明竜王にせまった将棋ソフト「ボナンザ」については、『ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか』 (角川oneテーマ21)に詳しいので、こちらも併せてどうぞ。

ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか (角川oneテーマ21)

ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか (角川oneテーマ21)