『リアル・スティール』が熱かった

今日の初ごと。

(1) 地名の由来になったという近所のお社に初詣。今年ということでなく、これまでで初めての参詣。大きくはないものの、さまざまな神が祭られている地元に根ざした歴史を感じさせるお社。
(2) バイクの初乗り。冷え切った車体はなかなかエンジンがかからなかったが、無事に起動。今年はどれくらい乗れるだろうか。
(3) 初映画は『リアル・スティール』(http://disney-studio.jp/movies/realsteel/)にした。時間の都合で日本語吹き替え版。
チケット購入の列に並んでいる間に残席わずかになってしまってちょっと焦った。お正月に加えて、15時からという時間が足を運びやすかったのかな。と思っていたが、映画自体、とっても熱くて、実に楽しい映画だったから、評判が良さそう。公式サイトにある「親子の絆」の映画というより、ダメならダメなりに強敵に立ち向かい、逆境に立ち向かう、闘いの熱さを感じる映画。

レビューはこちらが詳しい。自分が観にいこうと思ったのも、このレビューに影響されたからなので、これを読んでもらえれば十分かと。
【映画「リアル・スティール」レビュー << NODE 科学、技術、サブカル ニュース】
http://moriyama.com/node/2011/11/25/4261

その上で自分の感想をつらつらと書いてみるが、上に書いたように親子の絆の物語というより、ロボットの戦いの物語として観たので、そっち寄りの感想が主。ネタバレの恐れがあるので、これからの人は読まないほうが良いかも。まあ、話の流れはシンプルでひねりもないから、予想通りの展開になると思いますが。

・映画冒頭。ロボット格闘技用の戦闘ロボが登場し、田舎町のアトラクションとして猛牛と戦うシーン。人の背丈よりもやや大きいくらいの人型ロボットが猛牛相手にパワフルなパンチを繰り出し、攻撃をかわすために跳ね回る様子が実に自然。かつて『パトレイバー』が描いていたロボットの入ってきた未来の日常のようで、こういう未来が来ると楽しそうだな、と思わせる。と、次の瞬間に、このロボットは猛牛に片脚を弾き飛ばされた挙句にズタボロにされてしまう。それこそ、コロッセオでどちらかが死ぬまで戦う剣闘士同士の闘いを見せられてるようで、衝撃的なシーン。でも劇中の観客は大喜び。良いパートナーのように人の指示を聞くロボットなのに、単なる闘いに用いられる以上ではないという、この世界でのロボットの位置づけを思い知らされる。このつかみの部分が実にうまい。

・息子の親権を売った金で、かつての世界ランカーのロボットを手に入れるんだが、これが。目の厳しい顔立ちに紫のボディカラー。内側から緑色の光が漏れてくる、とくれば、もうこれはエヴァ初号機のシルエットにしか見えない。今は力不足で日本(日本はロボット格闘技のレベルが低いらしい)に流れていたとのことで、それもデザインに影響してるんじゃないだろうか。ボディには「超悪男子」と大書されてたりするし、腕のLEDディスプレイにも乱暴な熟語が流れてたりと、ちょっと変な日本テイストが入っていて楽しい。
でもこんな強力なマシンを手に入れても、マニュアルを読まないオヤジ(主人公のことです)は半分も使いこなせず、またズタボロにされてしまうあたり、ダメさ加減が際立つ。

・スクラップ置き場で見つけた旧型のスパーリング用ロボット。その胸に刻まれた名前。「ATOM」。これでゾクッとこないわけがない。

・このロボットの設定が、後からなるほどとうならされる。スパーリング用ロボットだから、対戦相手のどんな動きもできるように形態模写機能が入っているし、簡単に壊れないようにタフにできている。コーチの指導を忠実に実行するタフなやつ。『はじめの一歩』みたい。このあたりから、ボクシングマンガとオーバーラップするようになってくるので、なじみのある人にはわかりやすい展開になるかと。

・とりあえずウリを作ろうと、試合の前に子供と一緒にダンスをすることになるんだが、入場の時にダンス、とくれば、これは須藤元気の入場みたい、と思ってしまった。
Youtubeのまとめ画像を http://youtu.be/LRjCfdJbb6g

・息子が世界チャンピオンに宣戦布告するマイクパフォーマンスシーン。プロレスみたいな見得の切り方で、やーかっこいい。

・倒されても倒されても、「立って!立って戦うんだ!」という親子の必死の願いの声に応えて立ち上がり、耐えて耐えて戦い続けるATOM。もうこれは、ロボット版『あしたのジョー』か『はじめの一歩』か。いわばボクシングマンガのど定番。でもそれ故に、魂を揺さぶる熱さがある。知能もない、話もしない、心もない、不屈の闘志なんてあるわけもない、操縦されるだけのそんなロボットが闘っているだけなのに、相手の猛攻に耐えて耐え忍ぶ姿についつい応援してしまう。知らず拳を握り締めて「立て、立つんだ、ATOM!」と(口には出さないけど)

・どちらかがリングに倒れるまで闘う、って主人公(実は人間のボクシングで将来を嘱望されてた)を育てたお祖父さんのボクシングスタイルもまた潔くて気持ちいい。そんな潔いファイトスタイルの男の魂が回復する物語でもある。

・戦いを積み重ねることで親子のパートナーシップが深まり、それが「親子の絆」ということなんだろうけど、自分にはバディもののように思えた。互いに反目しあっていた二人が、一緒に戦いを続けていく中でお互いを認め合い、信頼しあっていく。息子をチャンピオンとの決戦に誘う姿は、どうみても「相棒」に対する所作だったように思う。『タイガー&バニー』で言うなら、虎徹が娘に対するというより、バニーに対してるときのような会話のテンションを感じた。絆ということには変わりないけど。

・とにかくシンプルに熱くなること請け合いの映画なのでおすすめ。特に男の子には。

ROBO-ONEロボコンといった競技が盛んな国なのに、日本ではこういう映画にはならないんだよなあ、と『ロボジー』の予告を見て思ったり。

・あんなパワフルなパンチが繰り出せるようになるには、どうすればいいんだろうねえ


その夜、ずっと保存していた『ほこ×たて』を見たら、ここにも熱い熱い戦いが繰り広げられていた。いいね。